
おはな畑
第1章 宇髄夫婦
「患者」
だろうな。
院内の人間であれば、祥子が俺の嫁だと知るから手を出さない。
稀に、新しく赴任してきた無知な野郎が近寄るが、大抵、どこかのお局が即座に締め上げてくれるそうで、祥子も笑い話として俺に話してくる。
「何されたんだ」
「……」
祥子が静かに首を振る。
はぁ、やっぱりやられたか……。
連絡先を渡された。デートに誘われた。
そういったことなら、俺にそうだと言ってくる。
これだけ何も言わないということは、体を触られたということだ。
「どうして欲しい……?」
言いながら、祥子の耳元に口を近づける。
「達弥……」
祥子は振り返り、潤んだ瞳を俺に向ける。
「俺に染めるか?」
「うん……染まりたい。私、達弥だけがいい……全部、達弥だけに染めて欲しい……」
「言ったな……?」
「お願い……今日は私を無茶苦茶に、んっ……」
俺は祥子の唇を塞ぎ込んだ。
