三匹の悪魔と従者たち
第9章 地上の月
最近のゴウキはらしくない。
再びそうゾフィーは感じていたものの、その理由がよく分からなかった。
それは魔の森で、彼と過ごしたあの日以来だった。
王となるために結婚相手を探している様子もない。
その理由を尋ねると、気まずげに無理矢理話をすり替える。
結婚や王、今後のこと。 そんな話題を彼は明らかに避けている。
自分を抱く頻度も以前より減った。
屋外の行為であられもなく乱れてしまった自分に引いたのか、もしくは飽きられたのかと思うと、たまにそうするゴウキは熱く激しい。
おそらく、未だ経験したことがなかった女としての悦びとはこういうものなのだろう。
………それにしても。
(なぜそれがこいつなんだろう)
正直、ゾフィーはそう思った。
晩餐会のあと魔界に戻り、相変わらず浮かない顔をしていた彼だった。
そんな彼をおもんばかり、今晩は一人になりたいのかと思い自分の宿舎に帰ろうとしたゾフィーを引き留めて、ゴウキが彼女のドレスの後ろにあるファスナーに手をかけた。
「こういう服のときは下着は付けねぇもんか」
首から背中の中央まではだかれた皮膚を、指先でなぞる感触にゾフィーはぞわぞわと鳥肌が立った。
「………胸のことか? 前にパッドが入ってるからと……着付けの者は言っていたが」
「なんとなく、そう思ってたがふーん。 そう考えるといヤらしいよな。 上品なデザインなのに」
「そういう目で見るお前がいやらしいのだろう?」
「全くだ」ゴウキはそれを否定せずベッドで腰を掛け、立っているゾフィーに触れ続けた。