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三匹の悪魔と従者たち

第9章 地上の月



「なんか脱がすの勿体ね。 これ」


そんなことを小さく言いながら背中から脇の方に回ってきた彼の手が、彼女の膨らみを求めて伸びてくる。
自分が着ている衣服の下を這い回っているそれのせいで、不自然に布地が盛り上がりうごめくたびに、ぴくんぴくんとゾフィーの体が反応を示す。


「お前、最近は止めろって言わねぇよな……」


開かれた彼女の背中に吐息がかかり、背骨を生暖かな舌で撫でられるのを感じた。


「言ってもどうせ……聞かない…くせに」

「ンなことねぇよ。 嫌ならしないって言っただろ」

「んぅ…」


容易に彼の指の先で摘まれた突起。 胸の中心にびりびりした電流を流し込まれているみたいなその感覚に、ゾフィーは咄嗟に自分の人差し指の付け根を噛んだ。


「早速おっ立ってて指にまとわりついてきやがるもんな。 ヤらしいのは俺だけか?」


無言のゾフィーに対し、なんらかの返事を催促しようとしているのか。 ゴウキの太い指先の間でも素直にそこに収まるように形を変えた乳首の側面が擦り上げられていく。

以前のように彼に対し軽口を叩きたいのだが、ゾフィーはそれを出来なかった。


一度知ってしまうと無理だった。

近ごろは欲しがって、ゾフィーは切なく啼く体を持て余し、時おり彼を思い出しては自慰までするようになった。

そのあとの、なんとも言えない罪悪感。 それがゴウキとするときはない。
彼の方から求めてきた。 その事実があるからかもしれない。

城下の繁華街でよく見かける、男にしなだれかかって甘えている女性を見るたびにゾフィーは首を振って無視をしていたのだが、今はなんとなく彼女らのその気持ちが分かるようになった。


(よりによってなぜゴウキなんだろう)




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