三匹の悪魔と従者たち
第9章 地上の月
彼女がそう思う理由。 それは、そうしたくとも出来ないからだった。
近いうちに彼は結婚をして自分から離れていく。
それでも傍に居たいと思うゾフィーの気持ちに変わりはない。
だがその気持ちの種類が以前とは違ってきていた。
「ふん……ん」
体を頭の中が真っ白になるぐらいまで弄られて、彼で埋めつくされていくこの行為に、ただ満たされるだけだ。
そして今晩もきっとそうなるんだろう。 彼女がどこか諦めたように目を伏せる。
執拗に胸を責めるゴウキは、ゾフィーがここが弱点だと知っているようだった。
元はささやかな大きさのそれが、はち切れんばかりに真っ赤に膨張するまで愛撫を続けている。
その片方の手を止めて、ゾフィーのドレスの裾から腿へと滑る手のひら。 そこから、やっと立っている彼女の様子がゴウキにも伝わってきた。
「気持ちいいか」
分かりきったことをなぜ聞いてくるんだろう? ゾフィーはそんなとき、なんと答えていいか迷う。
「そんなわけ…ないだろ…」
思考がおぼつかなくなったゾフィーは以前のように反射的にそう言ったが、細々と洩らした自分の声はひどく頼りなげに彼女には聞こえた。
ゾフィーはもうその感触で察した。
分かりきったこと。 なぜなら、ショーツの隙間から潜ってきた彼の指は今、たっぷりと滴っている自身の愛液に浸されているのだから。
「そうか。 じゃそのまま頑張って立ってろよ」
そう言ったあと、ゴウキの大きな手が突然ゾフィーの股間を擦り、「あっ」と声をあげ慌てて避けようとした彼女だったが、その瞬間に熟れた乳首を、もう一方の彼の指が強く捻りあげた。
「いっ…!あっ、アっあ! んあっ!」
ぐちゅぐちゅと彼女の足の間で往復を繰り返す彼の硬い皮膚、それに愛液が膜を張り、複雑に入り組んだ女性器を揉むように捏ねていく。
粘膜がむき出しの花びらや敏感な花芽、それらを一緒くたにした摩擦は彼女には強過ぎて、時おり入り口へと乱暴にゴウキの指が侵入するたびに、ゾフィーの腰と膝がぐらりと揺らいだ。