三匹の悪魔と従者たち
第9章 地上の月
「やっ…ああっ、あっあ! あっ…あっ、はあっ…」
そんな風にされていても、喉から洩れる声はとろりと甘みを帯び、なにも支えのない状況で立ってはいたが、今にも崩れそうな風情だった。
そんな彼女を見て、ゾフィーを優しく抱き留めてやりたいとゴウキは思うものの、自身の後ろ暗い心情から漏れ出る行動は、彼女を辱めたいという真逆のものに変換されていた。
「んか、乳首と似たようなのが当たるがな。 グショグショでよく分かんねぇが。 なあ、なんだこれ」
ぶちゅっ…ぐちゅぐちゅっ。
わざとそんな音を立ててゾフィーの羞恥を煽り、ついでに可愛らしく腫れて指に絡まっている愛おしい花芽も、いっそ思い切り抓りたいような気分だった。
「んぁああっ…やっ!」
さすがに烈し過ぎたのか、つま先立ちになって泣いているみたいな声を彼女にあげられたゴウキは躊躇して、一旦ペースを落とした。
「気持ちいいのか? 言えよ」
その癖に自分の無骨な手に、ついてくるように濡れた性器を僅かに押し付けてくる。
そうか。言わないのは俺だけじゃない。 セックスの快楽さえもゾフィーは言葉にしないのだ。 彼は思った。
「お前も大概ズリいよな」
こんなものになんの意味がある? そんな疑問符が湧いては、よどんだ霧の中へと堕ちてゆく。 最近彼女と行為を繰り返すたびに、それが濃くなっていくとゴウキは感じる。
明るく笑う彼女を眩しく照らしていた、あの月の一片でもあれば自分の心も安らいだのだろうか。
けれどそんなものはここにはない。
そして自分は『これ』を止められない。
つぷりと秘裂を割ったゴウキの指に、解れていない膣肉が堅く抵抗を示してきた。
両手首を彼女の背中でまとめ、まるで自分のモノを出し入れするかのように下から突いては抜き、そのたびに体をくねらせて喘ぐゾフィーを彼は冷静に見詰めていた。
「あっああっ…やッも、もう…んあっあっ! あっ…激しっ…あああっ!」
「好きだ」その間、小さな吐息ほどの量で、ゴウキはそう繰り返した。
彼女の好きな奥までは届かない、これでは焦らされて辛いだろう。 たがそれに構わずに彼は秘めやかな告白を続けた。
立てた中指で存分に掻き回し、やがてそれが柔らかなぬめりのみを彼の指に伝えてくるまで、彼はそうした。