
三匹の悪魔と従者たち
第9章 地上の月
「はんっん……あっ…」
脱力したように息を吐き、内側へと彼女の上半身が折れた。
もはや重みの大方を、両手を束ねているゴウキに支えられているだけのゾフィーだった。
行為のとき、見掛けに反して優しく彼女に接していたゴウキにしては、魔の森以来の手荒いやり方であった。
そのせいで、上り詰めるぎりぎりのところでゾフィーはそれを逃していた。
時おり卑猥な言葉で彼に責められても、そんな状態では恥辱の方が勝る。
それはまるでゾフィーが達することを禁じているかのように、彼女には思えた。
「はっあ……きもち、い……い」
とうとう降参を示すかのように、彼女がやっとそう口に出し、そうするとゾフィーの手首の拘束が少しゆるめられた。
揃えられた指の間に挟まれた、彼女の肉の一部。 彼が今度は絶え間なくそれを嬲ろうとするその前に、ゾフィーは今まで高められていたものが堰を切ったようにどっと溢れ、呆気なく達してしまった。
「…っぶねぇな。 おい」
前のめりで倒れそうになったゾフィーを自分の方へ引き寄せたゴウキが、分かりやすく絶頂の余韻を繰り返している彼女を、膝の上で包んで抱き締めた。
「あんなんですぐにイきやがって」
そう言ってぺろりとゾフィーの濡れた頬に舌で触れる。
一方、彼女のぼんやりとした視界の中の彼は、なぜだかどこか、辛そうに彼女からは見えた。
(ああ、そうか。 ゴウキもしたいんだろう)
「……ゾフィー」
「ん、うん……私ばかり…済まない。 私はお前の従者なのにな」
だらしない自分を少しばかり恥じ入って、ゾフィーは気怠げに体をずらして腰を移動させたが、偶然触れた彼のそれが、反応していないのに気付いた彼女は不思議に思った。
それで「ゴウキ?」熱でもあるのか、とまた彼女がそんなことを言おうとする前に、彼が重たげに口を開いた。
「ゾフィー、無理だ。 俺か、城…つかここの仕事。 どちらかを選んでくれ」
