三匹の悪魔と従者たち
第10章 再び王の間へ
「ゴウキか」顎をしゃくって、再び息子たちの頭上辺りに、ふっと現れた亡き愛妻に、サタンがそれを問いかける。
『わしはどうしたいいのだろう?』変わらずに輝かんばかりに美しい彼女は、『もうなんでもいいんじゃなあい? 面倒ですし……ああ、けれど』そう言ってふっと消えていく前に。『ここまで立派な息子たちに育てあげてくれた、貴方には感謝をしてるわ……わたくしの愛するサタン───プリン体には気を付けるのよ───……』そんなひと言を残していった。
「リリス。 わしの永遠の妻よ………」
虚空を追うかのようにじわわわと瞳を滲ませている父王を無視して、ユーゴが口を開いた。
「僕はゴウキ兄さんを手伝っていきたいんだ。 兄さんは体力も精神力も王として申し分ないよ」
「そうだね。 資質も見た目にも……王という器に相応しい彼に、おれも協力を惜しまないつもりだよ」
「今までどおりにね」 そう付け加えるジンに、ユーゴもこくりと深い頷きを返した。
王子が成長してから今までに、魔界は急速な発展を遂げた。
産業、観光、外交のそれぞれで、息子たちは素晴らしい貢献をしてきた。
そんな彼らの長男であるゴウキ。
名だけの長兄制にはサタンは興味はないが、二人の弟にとっては名実ともに彼は頼るべき存在なのだろう。