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三匹の悪魔と従者たち

第4章 ゴウキ × ゾフィー



しかしゾフィーはそれに『相応しい』嫁なのだろうかと思うと、ゴウキは首を捻ってしまう。
元はドワーフの里で育った彼女は魔族とはほど遠い気質であり、勤勉で正義感に溢れ、なにより魔王に属する兵という立場。

王が首を横に振ればおそらく、ゾフィーは傷付くだろう。 そしてひと言詫びて、俺の前から消えていなくなるかもしれない。
ゾフィーはそういう女だ。


「……考えても仕方がねえな」


大きなため息混じりにバリバリと髪を搔くゴウキにゾフィーが不審な目を向ける。


「どうした? 有り余ってるなら付き合うぞ。 憂さ晴らしに遠乗りでも行くか」


ゾフィーは自分よりも三つばかり歳上なのだが、ニコリと微笑みかけてくる表情はその童顔のせいで、せいぜいユーゴと同い年位にしか見えない。

──────こういうとこだ。 体の関係を持ってはいても余計な詮索せずに、気楽に手を伸ばしてこちらの気分転換に付き合ってくれる。
こんな女が他にいるのか。そう思うとゴウキはますます気が滅入る。


「憂さ晴らしとは思ってねえが、俺は今はゾフィーが欲しい」


ゴウキが腿に肘を置いて、合わせた両手からゾフィーを見詰めると、彼女の顔が途端に真っ赤に染まった。


「なっ……!! まだ昼だぞ? 大丈夫かお前」


外に出る気満々で手に取りかけた外套やら馬脚やらをガシャンガチャンと取り落として狼狽える様を見て、むしろお前の方が大丈夫なのかとゴウキは思う。



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