三匹の悪魔と従者たち
第4章 ゴウキ × ゾフィー
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「まあまだ昼過ぎだからマシだが。 城の外と城下の境界が危険なのは変わりないぞ」
「構わねぇよ今さら。 俺らにとっちゃ煩い城のヤツらが居ないここは天国だ。 憂さ晴らしも付き合ってくれんだろ?」
「しかし、私の平和な里とは大違いだな」
二人は今、城を出て五分ほどの林を歩いていた。
元々薄暗い中に、花はおろか葉のない奇っ怪な形をした樹木が林立するここは、魔の森なとどいう明確な呼び名で城を外界から隔てている。
ここの世界は平面に見えて並行世界で連なっており、さらにその一部が階層構造となっている。
ちょうど魔界から上に辿った位置にドワーフの里とエルフの森があり、いうなれば三つの世界は、比較的ご近所である。
地上を二分しているドワーフ族とエルフ族の仲があまり良くないことは、ゾフィーに対するアリスの態度で分かる。
先ほどゾフィーが若干狼狽えたのは、まるでゴウキが今すぐ結婚をしてゾフィーから離れるかのようにアリスが彼女に吹聴したからであった。
ゾフィーがなによりも嫌うのは、相手に嘘をつかれたり隠しごとをされることである。
ゴウキにはそれが無い、とゾフィーは信じている。
そして詳しいことは分からないが、彼のこの様子だと実際にどうこうということはないらしい。