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三匹の悪魔と従者たち

第4章 ゴウキ × ゾフィー



「最初はなんでこんなとこ放ったらかしにすんだろって思ってたが、天然の要塞ってことだな。 ああ見えて親父も馬鹿じゃねぇから」

「それだから私みたいな跳ねっ返りにはここは都合がいい」


エルフが進歩的な考え方を持つとすると、ドワーフは保守的なきらいがある。
女性は女性らしく。 そんな風に教育は受けてきたものの、ゾフィーにはそれは肌に馴染まなかった。

自由主義でなおかつ、地上の両方の世界と仲の良い魔界にゾフィーが移住したのは正しい選択だったのだろう。


ぼんやりのっぺりとした形状の、使い魔になり損ねた魔物が頭上をフラフラ漂っているのに気付き、その眼らしきものがゾフィーを認めた途端に大急ぎでその姿を岩場に隠した。

このような低級魔は病人や赤ん坊を襲うが健康な大人、ましてや戦闘力の高い彼らには手を出さない。

そんなことを分かってはいても、不気味さのただようこの魔の森を好んで歩く者は多くはなかった。



今まで誰ともすれ違わずに進んできた彼らは、こんこんと昇る湧き水が微かに白い湯気を吐いている、泉というには大きな沢の前で足を止めた。

そこの手前の岩場にゴウキが腰掛け、湯というにはぬるめの水に手を浸してそれを遊ばせる。


「ああ、でもユーゴやなんかはここを取り払いたいらしい。 もっと地上界とも気軽に行き来出来る方が互いのためにもいいだろうとか」

「あの賢い弟君だな。 だがそれは少し、世間知らず過ぎやしないか。 実際にここの夜などは、私たちでも厄介な魔物も多く存在するわけだし、完全に居なくなるなどとは」

「仮に一掃しても、ああいう手合いのものは勝手に生まれるからなあ。 ユーゴやジンは基本的に争いを好まないし優しいんだよ」


いかにも男性らしい、直線的な輪郭。 鋭利な印象のゴウキの表情が緩く楕円状に細まる瞳で和らぐ。 弟の話をする時は彼は昔からこうだ。



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