三匹の悪魔と従者たち
第4章 ゴウキ × ゾフィー
「それはお前もだと思うぞ?」
「そうかぁ? 俺らにとっちゃ、そんなこと言われても嬉しかねぇが」 ゾフィーの言葉を否定するように眉間を歪ませるゴウキを見ながら彼女が思う。
彼のこの、昔から悪ぶりたい癖がなんなのかはわからない。 だが彼は戦闘などでは容赦がないが、自分の部下や下の者の面倒をよく見ている。
ゾフィーの前の、彼の従者。
それをなぜゴウキが断ったのかは分からない。
その際には相手に恥をかかせぬようにきちんと先方の家まで出向いて、両親にも自分が悪いと詫びに行ったとか。
そんなゴウキがゾフィーを従者に選んだのは、自分が城に入ってからのことだ。
男だらけの周囲の中で好奇の目を向けられ、きっと彼は自分をそれらから庇ってくれようとしたのだろう。 そんな風に彼女は思っていた。
だから自分はゴウキのためならなんでもしてやる。
ただ偽らざる心で接してくれればいい。
私たちはずっと一緒だ。
────────と、そうは思うものの、色事となるとどうしてもゾフィーは腰が引けてしまった。
ゴウキとは気が合うし、立場など関係無く私たちは親しくあれる。 そんな自負はゾフィーにあるが、おそらく城に入らなければ、彼が従者に私を選ぶことはなかったろうとも思うのだ。
だってそうじゃなければ、こんなチビの男女の私など、彼が相手にするはずが無い。