三匹の悪魔と従者たち
第4章 ゴウキ × ゾフィー
「ん……? 何脱いでるんだ」
沢の水面を眺めて物思いにふけっていたゾフィーが見上げると、ゴウキがバサバサと岩場に衣服を脱ぎ捨てていた。
まじまじと彼の裸を見れるほどゾフィーはあけっぴろげな行為はしたことがないので、普段男の上半身は見慣れていても、下の方はぶんっと勢いよく顔を逸らしてしまう。
「風呂っつったろ? 一緒に入ろうぜ」
「お前な、ここ外」
「うるせぇな。 脱がして欲しいのか?」
往生際悪く硬直しているゾフィーを強引に後ろから抱き締めると、ゴウキは彼女の耳まで赤くなっているのが分かった。
性格や生い立ちからいうと仕方ないのだが、ゾフィーは基本的に奥手である。
彼女から誘われたことなどもちろんない。
とはいえおそらく、嫌いなわけではないともゴウキは思っている。
細い首筋の、うなじのうぶ毛に逆らうように小さく舌を這わせていくと、そのたびに抱いている体が小刻みに震えるのが腕に伝わる。
最初は寒いのか、なんてそんなゾフィーが分からずに訊いたものだ。
こういう時魔族の中でも長身な彼からすると、体型だけを見れば幼女に悪戯でもするみたいな気分になる。
「敏感だよな。 相変わらず」
「…んなこと、ないっ」
「あるし」
「……ッっん…!」
つつとすぼめた舌で耳の後ろを撫でると、女の香りがふっとゴウキの鼻腔を掠めた。