三匹の悪魔と従者たち
第5章 ユーゴ × アイシャ
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その一週間ほどあとに、ユーゴは自分と同い歳のエルフの女性と見合いをした。
翌日、昼食を自室に運んできてくれたスレイが昨晩のことをやんわりとユーゴに訊いてきた。
「ユーゴ様。 お見合いはどうでした?」
「………まあ、良さそうな人だったよ」
ユーゴはそれに対して当たり障りのない返事をした。
印象としては知的で上品そうで。
読んでいる本の話なんかをしてみたが、きちんとそれにもついてくる。
それだけでも幅が広く隔たってない彼女の人間性が分かった。
けれど顔がよく思い出せない。
紹介してくれた人によると、綺麗な人だったらしい。
まるでモヤがかかったみたいに、鼻の辺りから動いていた口元と髪しか記憶に残っていない。
あんなことまでしておいて?
今日はまだ手をつけていない様子の書類の束がデスクの脇に積んである。
こめかみに指を当てて、神妙な表情をしているユーゴをスレイは黙って見守っていた。