三匹の悪魔と従者たち
第5章 ユーゴ × アイシャ
「ええと……アイシャは確か、僕としたかったんでしょ? 胸触れとか言ってたし」
「そう……なんだけど………その、あの。 心の準備が」
至近距離も無理なのか、ユーゴの胸を手のひらで抑えてアワアワしているアイシャを正直、可愛い過ぎると彼は思った。
「アイシャはやっぱり僕のことは仕事だけってこと?」
「っそれは違うわ!! わたしくしはずっとずっとずっとずっとユーゴが好きだったもの!」
それなら仕事仕事なんて連呼しなければ良かったのに。 だがそれは、お互い様だ。
必死な様子のアイシャが愛おしかった。
「ふ……それならいいよ。 いくらでも待つよ」
優しく微笑むユーゴに、アイシャはほっとした笑みを返し、だけれども彼女はいつもの彼とはどこか違う違和感を感じた。
「僕はね」
世間知らずでお人好しで可愛いアイシャ。
従者という制度を嫌悪していても、その鎖はおそらくユーゴにとって好都合だったのだろう。 今になって彼はそうも思う。
それが無くなって、結婚の口約束だけでのんびり待ってたらその隙に他に取られないとも限らない。
結論、無理のないようにその気にさせるのが一番いい。
「………えっ?」