三匹の悪魔と従者たち
第7章 城外の朝
ちなみに彼に魔力の使い方を教えたのはその面でも有能なスレイである。
今まで女性から誘われたことは儘あっても、ユーゴから誘ったことは無い。
そして自分が初めて好きになった女性───────しかも処女なんてものは、未経験のユーゴだ。
そんな彼女の気持ちに自分は寄り添っていなかった。 そう彼は思った。
以来ユーゴは彼女に対し途端に臆病風が吹くようになり、一方アイシャはけろりと陽気な彼女に戻った。
加えて従者という関係も無くなった今では、気軽にそういう雰囲気に持ち込める機会も失ってしまった。
表面的には普通に親しげに接してはいても、アイシャを意識をし始めてから急激に日々募っていく欲。
(従者だった、あの時にやっておくべきだったかも)
そんな思考が頭をよぎり、そういう自分に益々嫌悪する。
(このままじゃ僕はアイシャと結婚する資格なんてないのではないだろうか)
「真心って、どうやったら手に入るんだろう?」
仕舞いにはそんなことをぶつぶつと呟いてしまうユーゴだった。