三匹の悪魔と従者たち
第7章 城外の朝
「真心がなんだって?」
城外へ出る長階段の上を見上げると、外歩きの支度を整えたゴウキが立っていた。
「さっさと行こうぜ。 南は城下への道のりも一番長いしな。 朝はまだ危ないから気を付けろよ」
「………そうだね」
ここの世界の乗り物はいくつかあるが、普段使いのものとしては馬が多かった。
単騎で乗る場合もあれば、女性などはよく乗り合いの馬車を使ったりする。
地上のものは角が生えていたり真っ白だったりするが、魔界のそれは大きく筋肉質で炭のような体色で赤い目をしており、脚が八本あるもの。
気性は荒いが、平地を駆けるにはこれより俊足なものはいない。
「よしよし。 飯は食ったか? ちょっと付き合ってくれるか」
「短時間だからね。 僕だよ。 いつも通り、危険な目にはあわせないから」
馬小屋から引かれてきた時は鼻息荒くちかちかと瞬いていた、彼らの血のように赤い目の光が和らいでいく。
きちんと依頼をして許可を得ると、彼らはその背に乗せてくれる。
ここで無作法をするとてこでも動かないどころか、下手をするとその無駄に多い脚で蹴られ、毎年いくらかは死人が出るほどの気難しさだった。
「といっても、お前には小さい頃から乗せてもらってるんだけどね。 あ、有難いとは思ってるよ? もちろんね」
同等な関係では無い(と馬は思っている)ので、名前さえも付けられない。
道中も定期的にご機嫌を取らなければならない。 端的に言うと面倒臭い性格である。