
三匹の悪魔と従者たち
第7章 城外の朝
風を切って走っていくと、あっという間に背後の城の姿が小さくなっていった。
その途中でパキン、パキンという音が聞こえるが、それらはユーゴが自分たちの周りに作っている結界に弾かれた低級魔たちだ。
放っておいても襲ってくるほど強くはないとはいえ、ぶつかると単純に馬が驚いて事故になる恐れもあるし、稀に現れる厄介な魔物からも身を守れるからだった。
「ハハッ。 むしろユーゴと走ると楽だよな。 剣を出す必要もねぇ。 ああ、もちろん馬がいいんだけどな」
「朝から走るのも気持ちいいよね。 本当にお前のお陰で助かるよ」
言葉尻に賛辞を付け加えるのさえ忘れなければ、爽快な乗り心地なのである。
南側の道のりは他よりも長い代わりに、平坦な所が多い。
早々と魔の森を抜け、二人が薄暗く広大な荒地の中を駆けていく。
「あと五分ぐらいで着くな。 人の足だと半日掛かるが。 丁度境界の辺りだろ? さすがの脚だな」
「そう。 地熱を測ったあと成分を調べるのに、少し土を持ち帰れれば終わりだよ。 そもそもこんな土地が無けりゃ、苦労はしないんだけどね。 お前がいなきゃもっと時間が掛かった所だった」
「おいユーゴ。 その話だが、ここを無くすっつぅ話には俺は反対だぜ。 ああ、そういえば。 お前アイシャの従者関係止めたんだってな? 七年も一緒にいていきなりなんでだ? いつまでも元気でいてくれよ」
「なんでそれ知ってるの。 それでここをって、それもなぜ? こんな危険な場所なのに。 あの……ちょっと止まって話さない? 集中出来ない。 何年経っても堂々として立派だよね」
互いにこくりこくりと頷き合ったユーゴたちは、それからは無言で取り敢えずは目的地に向かった。
