三匹の悪魔と従者たち
第7章 城外の朝
「随分と気の長い話だが、鶏が先かって話。 それは土地のせいか? ……そもそもだが、奴らはどうして生まれる」
魔物という、生物に危害を加える悪魔界特有の悪い存在。 目撃情報によると、どうやらそれらは城の外で自然発生するらしい。
中には比較的知能があったり、感情を持つものもあり、それらの中でも良心的なものは使い魔となって地上の人々に使役されることもある。
「まだ解明されてないよね。 例えば地上に住む者の、悪い心から力を得て、なんて云われてるけど」
昔はそれらを一緒くたにされて、悪魔族も魔物の一部と、地上を含め他の世界にも思い込まれていた時代もあったらしい。
そんな先入観も手伝って、悪魔は悪くあるべき、そういう不文律を作り上げた。
「悪い土地から生まれるってならまあ分かるけどな。 そうじゃねぇんなら行き場を失くして絶滅。 そんなのは実際の生き物の話であって、その前に居場所が減って鬱屈した奴らが集まったらどうなる。 波長の合う者同士でより強力な魔物に生まれ変わったり、縄張り争いする習性もあんのは知ってるだろ」
「ひと角に集めて居場所が分かっていれば、討伐も簡単になると思うけど」
「そうは言うが、お前みたいな奴ばかりじゃねぇ。 ここでは殆どの男は体を鍛えるし剣や馬術をやる。 理由の殆どは城下との往復のためだ。 馬を走らせるたびに、歩くたびに自分の身を守るために、子供だって商人だってそうする。 魔物が居なくなったとして、それがなくなるのは得策とは言えねぇわな。 地下資源の豊富なここに、エルフやドワーフが手を出さないのは、魔物のお陰、それから魔族の平均的な戦力が桁違いだからだ」
他種族がここを訪ねる際は、魔族に護衛を頼むことも多い。
そんな経緯があり、こんにち他種族と悪魔族は友好的な関係を築いている。