三匹の悪魔と従者たち
第7章 城外の朝
「僕は暴力は好きじゃないけど、それを含めた国力が抑止力にもなってるってことかな」
「悪ぃモンは必要なんだよ。 ある程度はな。 加減するって話なら、俺もゾフィーも賛成だぜ。 実際俺らの兵もそうやって来てるわけだからな」
「なるほどね。 とりわけ危険な場所だけ抽出して少しずつ調べていこうかな。 加えて城下と繋ぐんじゃなくて、城周辺を開墾するのがいいのかな?」
「それなら俺らの目も届くな。 帰ったらジンにも話してみようぜ」
話しながらも、馬たちとの約束の時間が迫っていた。
遅刻すると彼らは不機嫌になり、乗り手を置いて勝手に帰ったりするのだ。
「そうだね。 ありがとう兄さん。 ……アイシャのことにしても、きっと僕は視野が狭いんだよ」
「狭いんじゃなくて、見えるモンと見えないモンが個々で違うだけだろ。 俺にゃ見えねぇことをきっとお前には山ってほど見えてる」
それから黙々と本来の用事を済ませ始めたユーゴだったが、ゴウキは作業中の彼の周囲に一応気を配りながら、世辞などではなくそうだと思っていた。
例えば、ゴウキやジンが見落としていることを陰でさり気なくフォローしているのは大概ユーゴである。
彼らの仕事を手伝うことは、大抵のことはユーゴには出来るが、逆にユーゴのすることを彼らが代替するのは難しい。
優秀であるし、なによりユーゴは忌憚なく周りの意見を聞く柔軟で素直な性格である。