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三匹の悪魔と従者たち

第8章 持たざる者



こと切れたように動かなくなったアリスだった。

向かいの二人が目のやり場に困ってしばらく無言でいると、ユーゴの隣のゴウキが耳打ちをしてきた。


『まさか、ずっと勃ってたのか?』

『こんな話してる時に? 無理でしょ普通』


ジンの巨根は知っているが、よく抜けないものだ。
その辺りもゴウキたちは気になっていた。

すると、ぐちゅっ。 そんなねちっこい水音が耳に入り、慌てた二人がまたジンの方から大きく目を逸らした。


「もう少し詳しい話を聞きたかったんだけど……ちょっとごめんね。 アリスが歩けないから応接室に寝かせてくる」

「お……おう」


大事な人形のように彼女を抱き上げたジンが一旦席を外し、それを見送ったあとゴウキが弟に向き直った。


「さっきの話。 勃……じゃなくて。 公に出来ないって、なんでだ?」

「兵器にもなるってことだよ。 もしもあの土を他に持ち込んで魔物を呼べるのなら」

「そりゃ……物騒な話だな」


思ってもいなかった返答にゴウキが呟き、間もなくジン一人が戻ってきて、元の場所に掛け直した。

やっと落ち着いて話が出来るようだと、ゴウキたちは銘々に心からほっとした表情をした。


「そういうこと。 少なくとも、おれたちはしっかりそれを管理しないと。 まだ推測の域だからどちらにしろ、調べる必要はあると思うけどね。 ただ今後の調査はなるべく秘密裏にした方がいい。 手が足りないようならおれも手伝うよ。 一応は守ってもらうほど弱くないつもりだし」


自らを「持たざる者」というジンは魔力は無いとしても、王族としての教育のお陰で、その辺の兵士よりは武術一般にも優れている。
そんな彼を心強く思いながらも──────ユーゴは先ほどから気になっていたことを訊いてみた。


「ありがとう兄さん。でも、実のところあの、……ずっと勃ってたの? アレ」

「半勃ちかな。 昼前にしてそのままにしといただけ。 アリスはまだ開発中だからそれぐらいが具合がいいみたいでさ。 半年前まで処女だったし仕様がないけど」


あの会話の最中ずっと半勃ちだったのか。 二人は曖昧に頷いた。




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