小さな花
第2章 Not a boyfriend
「ありゃあ、多分どっかのボーイかなんかだろ」
「ボーイ?」
ラーメンをすすりながら会話を交わす。
「キャバクラとかにいる黒服のこと。」
「ああ…。」
確かにそう言われればしっくり来る。
ということは、いつも仕事前にお弁当を買いに来てるのか…。
「ね、お茶しよって言われたんだよ」
「ふーん」
「んむーっ!どうでもいいよね!ふん!」
「なんて言ってほしいんだよ(笑)」
まぁ、シンくんの反応は分かっていたけど。
「デートしてみようかな?」
「タイプなんだ?」
カズヤくんは俗に言うイケメンだと思う。
でも、イケメン=タイプではないんだよな…。
「うーん…。べつにそうでもない…」
「遊び半分でああいう奴と付き合うと、大変だと思うけどね。ま、好きにすれば?」
実に興味が無さそうに言うシンくんの手は、悔しいけれどやっぱり魅力的だった。
「暇だし、一回遊ぶくらいなら良いかな。」
「いいねー、暇人は。」
「んもう!」
「一発ヤリたいだけだろ、どうせ」
もしそうなら…。
童顔だと言われ続けてきたからか、自分を女として見てもらえるのは…ちょっとうれしい。
「あー、それはないか。」
シンくんが言い直した。
「どうしてよ?」
「お前みたいなガキンチョに発情しないだろ、おそらく」
ぷんすか怒ったが、その日もビールを一杯飲んで、アパートまで送ってもらった。