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小さな花

第2章 Not a boyfriend


「おいおい、最近付き合い悪いな?かっこよくてお金持ちな俺が誘ってんのに」

弁当待ちのシンくんが、ZIPPOでタバコに火をつけながらふざけている。


やっぱりあの夜のこと、からかわれるよね…うん、分かってはいた。


「あれはっ!つい、思ってもないこと言っちゃっただけだから!」


天ぷらに誘われた日…女の人と歩いていたのを目撃した日から1ヶ月が経った。


結局…カズヤくんと、なんとなく一緒にいる日々が続いている。


シンくんは変わらずちょくちょく誘ってくれるけど、一度も行ってない。



「彼氏とはうまくいってんのー?」

いい天気だねえとでも言うようにシンくんは言う。


「かっ彼氏じゃないよ!」

「なあんだ、まだ付き合ってね―のか」


まだも何も、付き合うなんて正直考えていない。


ただ何となく、火曜日あたりになると一緒に過ごし、体も重ねる。


カズヤくんは冗談で私を彼女と言ったり、自分を彼氏だと言ったりするけれど、そのたびにはぐらかしてきた。




――シンくんと楽しく飲み交わしたのが、とても古い記憶に思えてくる。


お弁当を持ってアスク不動産へ戻っていくシンくんの背中を見送りながら、わけの分からない自分の感情に少し嘲笑った。



今日は火曜日で、いつものようにカズヤくんからメールが届く。


以前はどこかでデートして、それから彼の家に行って、それなりに仲良くやっていた。


最近はコンビニで酒やツマミを買って彼の家へ…そしてやることをやって、おしまいだ。


べつにそれでも構わなかった。
1人で過ごす日が減るのは気も紛れて良い。


私って寂しがり屋だったんだ?

初めて知る自分の性質に少し驚く。


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