小さな花
第4章 I'm happy with my life now
「そうですね、毎週です」
なにも、心からカズヤくんを信じていたわけではない。
けれど、やっぱりなんだかへこむ。
「そっかぁ…それで、行くの?」
「まぁ、一度くらいならいいかなって。良い人ですもんね?」
その質問には曖昧な反応しかできなかった。
…今日はお酒を飲みたい。
出来ることならシンくんに思いっきり愚痴って、お前が悪いと怒られながらも大騒ぎして飲み明かしたい。
でも、今も店頭では加奈子ちゃんとシンくんがお喋りしている。
なんとなく、入る余地はないと感じてしまう。
ピーク時を少し過ぎた13時頃、店先にいた加奈子ちゃんに呼ばれた。
「お客さんです」
「だあれ?」
言いながら駆け寄ると、そこには倉田くんが立っていた。
「あ、こんにちは。今からお昼?」
「そうです、ちょっと忙しくて…」
セツ子さんに野菜炒め弁当をお願いすると、すぐに倉田くんが話し始める。
「あの…僕、最近ボーナスが入って」
「え~、いいなあ」
世間話だと思って返事をすると、どうやら違うみたいだった。
「良かったら、飲みに行きませんか?」
緊張した表情の倉田くんは私をじっと見ていた。
店頭に立ち、みんなに可愛がられている加奈子ちゃんではなく、私を…
「せいらさんいますかって、突然言われて。びっくりしちゃいました(笑)楽しんできてくださいね!」
今日も加奈子ちゃんは帰っていく。
倉田くんのお誘いは嬉しかったけれど、なんとなく…思わせぶりなことはしないよう、タケちゃんも誘って3人で飲みに行くことにした。
ボーナスでおごってくれるという理由付けだったはずだけど、なんだか申し訳なくて…。
「あら、さわやかイケメン」
会って早々、タケちゃんは倉田くんを気に入ったようだった。
「あの…僕はその…」
「なによ?」
「…いえ(笑)」
「気が向いたらいつでも声かけてよね、僕いまフリーだから。ふふっ」