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小さな花

第8章 Why do you kiss me?



翌週のバイトで、セツ子さんはお正月の確認だと言って私を厨房へ呼んだ。


「せいらちゃん、本当助かるわぁ。1人じゃ出来ないもの」


「いいえ、どうせ予定もないですし。お手伝い出来て嬉しいです」


当日は朝から小豆を煮詰めたり、ほかにも用意するトッピングがたくさんある。


ふと、セツ子さんが思い出したように声をあげた。


「あぁっ!そうそう。こないだせいらちゃん風邪ひいたじゃない?」


「すみません…」


「ふふふ、そうじゃないのよう~。惣菜届けに行った時ね、せいらちゃん寝てるからってシンちゃんが受け取ってくれたんよ。俺がみてるから大丈夫だよ~なんて言ってね。私すごく安心したよお?」


「あ…あはは…。すいません、眠っちゃってたみたいで代わりにシンくんが」


「はっは!せいらちゃんが出てくるもんだと思ったらシンちゃんで、そんときゃビックリしたよ」








―――12月30日。


もう大晦日が明日に迫っているなんて、なんだか信じられない。


かどやは30・31日とお休みで、1日にお餅を売り出したらまたお休み。


都心にいる頃はお正月休みが嬉しかったけれど、この町でどう過ごせばいいか…なんとなく手持ち無沙汰だ。



「せいら、おはよ~」


今日はBLUEのバイトが入っていて、お店に着くとタケちゃんがボックス席の掃除をしていた。


「おはよう。手伝うね!」


掃除機をかけ、テーブルを拭く。


BGMをONにして照明を落とし、青色のライトをつけたらバッチリだ。




「明日で今年も終わるなんてね。毎年実感ないよ」


タケちゃんがカウンターの中の子鏡を見ながら鼻ピアスを交換している。


「そうだね。タケちゃん、年越しはいつもどうしてるの?」


「この町に来てからは、毎年店にいるよ。お客さんと飲んで騒いで、あとはだいたい寝てる」


「なるほど」


「せいらは?どっか行ったりするの?」


「ううん。特に…」




「シンちゃん元気?」


「えっ?…あぁうん、相変わらず…じゃないかな」


「ふぅん?」


「な、なに?」


「べーつにー♪」



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