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小さな花

第1章 Moegi Station Shopping Street


足元が冷たい。



――…気付くと私は有馬さんにおぶわれ、足をぶらぶらさせながらしっかり彼の首元にしがみついていた。



「んぁ…?」


ぼんやりと視界がひらけてきた。


人通りは多くないが、たまにすれ違う人はめずらしげにこちらを見ている。



「目ぇ覚めたか?」

「あ…有馬さん?!」


「お前な、飲みすぎ。送ってやるから暴れんな、重い」

「う…」


ぴしゃりときつい一言とは裏腹、彼の腕はしっかり私を支えていた。



有馬さんは普段こんなに高い位置から景色を見てるんだ…



整髪料か香水か、有馬さんの髪から漂う心地よい香りと共に意識は遠ざかっていった。







「痛…っ」


ホテルのベッドで目が覚めた時には、もう朝だった。
ひどい頭痛がする。


昨夜、有馬さんにおぶわれて…ええと…。


ふと見るとテーブルにメモがある。



”10時半にかどや。来なかったら罰金
090-XXXX-XXXX 有馬”



罰金って…。
それに、携帯番号なら名刺に書いてあるのに。


そう思い確認すると、名刺の番号とは違っている。

プライベート用?



ふと嫌な予感がして財布を見ると、中身が減ってない。

有馬さんが払ってくれたんだ…


あれだけ迷惑をかけて、遅刻するわけにいかない。



かどやというお弁当屋で働くかどうかは別として、とにかく支度をしなきゃ!


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