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嵐びーえる。

第17章 番外編④

出会ったのは、高校3年になってから。


けれど、噂程度には知っていた。


俺と、“山田太郎”という男が、この学年の2トップだとか。


興味なんかなく、どうでもいいと思っていた。






けれど、あの日、出会ってしまった。






磯貝が、いつものように、校門の前に車を止め、俺の席のドアを開けたとき。




車の後ろから慌てて登校してくる、一人の男。



俺の隣に並ぶと、歩を緩めた。


完全無視、を決め込み、二人並んでレッドカーペットを歩くと、歓声が上がる。





いつものことだ。





けれどその日は、いつもの倍くらい、声が高い。








理由は、クラス替え発表の名簿の前で、分かった。








山「山田太郎です。よろしく」





なるほどね。あの“山田太郎”と、一緒に登校してたわけか。









にこり、と笑いかけられた笑顔が妙に眩しくて、俺は足早に教室へ向かった。







始業式での校歌も、俺が伴奏、あいつが指揮者。

クラス委員にも、候補として俺らの名前が挙がる。

まあ、興味ないけど。




いつもそうだ。




もう、どうでもいい。




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