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惑星ミラーミラー

第5章 〜謎のプラント〜

(3)

さらに奥の建物も同じく植物プラントだ


こちらは葉菜と根菜のようだ


「これって高級サラダ用のサジタリウスキャベツじゃない?」


「あっちの人参らしき葉はどうやらベガキャロットっぽいな、どちらも間引いた跡があるな

 誰が間引いたか知らねぇが、悪くない」


「……ちゃんと育ててる、って事だよね」


「問題は誰が収穫して、誰が消費してるのか?
 って事だな?」


「やっぱり人間が……?」


「……それは……無いハズ……なんだがなぁ
 自信が無くなってきたな……」


「ここで待っていたら収穫用のロボットがやって来るんじゃない?
 どこに運搬されていくのか……」


「……跡をつけてみるか?」



「……私たちの目的、謎のシグナルの調査にも繋がるかもしれない」


エーイレブンは接続端末にコードを繋いで、直近にどこの出入り口が利用されているか履歴を追った


そのあいだソニアは奥の建物、さらに奥と、ここの小規模のブロック全体を把握すべく見て回る


今まで通ってきた物流センターブロックや、商業施設のブロックと異なり、この植物プラントのブロックは放置されていたような埃っぽさが無い


今も使われている、という事だ



“……この惑星、……廃棄されたハズじゃなかったのかしら?”


ソニアはブルーベリーをもぎ取り、つまみ食いしながら今回の依頼書の内容を思い出していた…


“……たしか●●年に廃坑が決定、その後惑星の廃棄が段階的に行われて、最後の船団が●●年に完了、て記してあったけど……”


エーイレブンが以前に言ってた通り、人間が居なくなっても最低限のシステムは稼働を続けていく


それは人間が生存するためではなく、施設を維持していくためだ


軍事基地で無い限りは破壊して立ち去ることはない


地下の発電所は氷を溶かして水蒸気からエネルギーを作り出す

この量を最低限にさせて持続させているのだろう


メンテナンスはロボットか


惑星に限らず廃棄宇宙ステーションや、廃棄の小惑星鉱山など、よくある事だ


そういった廃棄された施設の管理なんかがソニアのような子会社や孫請け企業に仕事かまわってくる


いつもの事だ


システムやロボットだけが動いている

人間も居ないのに、健気なものね


ソニアは不憫に思えてきた…

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