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惑星ミラーミラー

第7章 〜残された人々〜

(3)

「……ほとんどの人たちは最後の船に乗ったんだよ……、

 でも何人かはこの星に残ることにしたんだ

 それは帰る星が無かった人や、帰りたくなかった人、また帰りたくても帰れなかった人とか、理由は人それぞれだったらしいんだけど…

 残った何人かはこの星で暮らすことを決心して、ここで家族を作ったりして新しい生活が始まったんだ…」


「……それがフレッドのお父さんとお母さん?」


「そう」


ソニアは夢見心地にフレッドの話しをぼんやり聴いていた


横に密着する少年の体温が伝わってきて、ソニアも睡魔がやってきた…


「最初の頃は全員がひとつの大きな大家族のようだったんだけど…

 つまらない事とかでいさかいが増えてきて…

 ……だんだん互いに疎遠になっていったんだ」


ソニアはよくある話しだな、と思った


宇宙ステーションや、衛星基地など、隔離された空間で数人が生活をすると何かしら問題が生まれるものだ…


それは地位や権力の問題だったり、仕事ぶりの格差、……そして男女の痴話だったり


学校だったり、会社だったり、どこにいても人が増えればまとまらなくなる


ソニア自身も人間関係のトラブルを何度も経験して辟易してきた

だからこそひとりで完結できるような今の管理業務に落ち着いたのだ


寂しくはない

仕事の労働力不足はエーイレブンのようにアンドロイドの相棒がいればすべてスムーズに進められるのだから…


それに


たまに心と身体を満たしてくれるような相手が居れば…


ソニアにとって妻子持ちのカークは自分にとっても都合が良かったのだ


惑星ミラーミラーに残った人々も、様々な理由で残ることを選んだのだろうが、トラブルは船に乗ろうが星に残ろうが何かしら生じるものなのだ


残されたフレッドの母親はきっと彼をを心の拠り所にしていたに違いない……


こうして子どもと添い寝して、満足だったろう



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