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惑星ミラーミラー

第9章 〜ミラーミラーの秘密〜

(4)

男たちが暮らすブロックを蹂躙する少女たち


その狂った人形たちは長い連絡通路を伝って女性たちが暮らすブロックにまで爪を伸ばしてきた


消えていく女性たち


残された女性たちはフリードリッヒを伴って、隔離された宇宙船をシェルター代わりにして息を潜めた


狭い空間だったがフリードリッヒは懸命に奉仕した


女たちを喜ばすために



もちろんフリードリッヒ自身も女たちを喜ばすために生まれてきたのだから


最後の女、ママがひっそりと息を引き取った


フリードリッヒの眼の前には眠る老女の顔はおだやかな表情だ


それからフリードリッヒは長く独りで暮らしてきたのだ


でもそれは長くは続かないだろう


狂える少女人形たちの魔手はすぐ近くまで届きそうだった


さらに……



放射線の影響は次々と機器類を狂わせていく


使われていない宇宙エアポートも異常をきたし、余計なアラームが鳴り響く



その警告はシグナルとなって宇宙に浮かぶ無人衛星にも届く


シグナルはアモルフィス社にまで届くようになったのだ


そして使者が訪れる


なにも知らない調査員ソニア


そして重大な危機が迫っているという



分厚い氷の下にある巨大な発電所


異常をきたした発電所のシステムは設定電力をあげていく


余剰されたエネルギーは熱源となり、徐々に氷を溶かしていくと言う


氷の惑星ミラーミラーは崩壊の序曲が奏でられていたのだった…



「タイヘンなことになるじゃない!
 何とかして止めないと……ッ!!」


「止めなくていいとぼくは思うんだ

 いま自動工場は勝手にアンジェリーナを大量生産しているんだ

 倒しても倒してもキリがない

 まとめて駆逐するには辺り一帯を消滅させられるような巨大なエネルギーが必要だよ

 さいわいこの星には人間は居ない、ソニアさんを除いてね


 だからソニアさん、急いでこの星から飛び立ってよ!」



「行くときはキミも一緒だよ、フレッド」


フレッドは躊躇したためらいの表情を見せたが、すぐに破顔した笑顔を見せた


ソニアは少年の姿をしたアンドロイドをやさしく抱きしめてやる


「わたしも独りきりなんだよ、一緒に他の星で暮らそう

 今度は私のそばに居るといい……

 フレッド、抱いてくれるかい?」


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