テキストサイズ

機動戦士ガンダム🎄☃戦場のメリークリスマス🎄☃

第5章 銀世界、血に染めて

自分もイリアもダメージが大きいことを悟ったシャープは何とかイリア機を救出して撤退体制に入った。

「ふう、恐ろしいヤツだった」

絶体絶命の危機が去って一同は胸を撫でおろした。高圧電流によって焦げているGMスナイパーやアスナロキャノンの機体が戦いの恐ろしさを物語っている。

胸を撫でおろしたのも束の間、カラテはレオンに危機が迫っているのを感じた。

砂漠戦用を雪上戦用にアレンジしたザクは自在に雪に潜って攻撃してくる手強い敵だ。足を取られてレオンのGMは転倒するが、何とか起き上がり、ヒートホークを振りかざして襲い来るザクのコクピットに起き上がりざまにビームサーベルを突き刺した。
モノアイの光が消えて、ザクは屍のように倒れた。コクピットの中ではパイロットがビームサーベルに焼き切られて残酷な死に方をしたのであろう。
できれば殺したくはなかった。コクピットだけは避けたかった。だが、窮地に陥ったレオンには、これが精一杯だった。殺らなければ自分が殺られていた。

が、立ち上がったGMを標的に白いズゴックが尋常ではない猛スピードで迫っていた。老兵セムージュの怨念を乗せたズゴックのモノアイが邪悪に光る。

「レオン先輩、危ない!逃げて!」

レオン機の救出に向かおうとするカラテだが、更に出現したザクがヒートホークを振りかざして襲いかかる。

「どけよ、レオン先輩が危ないんだ」

頭部バルカン砲でザクのモノアイを潰してズゴックに追いすがろうとするカラテだが、間一髪のタイミングで間に合わなかった。

「あっ」
コメットはレオンのために作ったケーキを手が滑って落としてしまった。一瞬嫌な予感が走ったが、明るくそれを打ち消してレオンを想ってケーキを作り直すコメット。

あまりの猛スピードに反応しきれなかったGMの腹部を白いズゴックの巨大な三本の爪が貫いた。
ズゴックは体制を低くしてGMの爆発から身を守り、セムージュの不敵な笑いと共に立ち上がると基地を目指す。

「レオン先輩!」
レオンを想って幸せそうにしているコメットの笑顔や、自分とレオンの思い出のシーンが走馬灯のようにカラテの脳裏に再現される。

「やったな、よくも、よくもレオン先輩を」

泣きながら雄叫びをあげるとカラテはズゴックに迫る。カラテの怒りと悲しみが乗り移ったアスナロは正に鬼神のように見える。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ