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「勝利の影には犠牲があるのは必然。恨むのなら、こまで戦果を挙げられなかった自分たちの無能さを恨め。連邦もろともジオン勝利の礎となるがいい」

連邦軍の極秘秘密兵器の開発工場であるシベリア基地を墜とすことがマ・クベに対抗する唯一の戦果だとバッドは考えていた。
キシリア・ザビに取り入ったマ・クベに更なる出世が見込まれる今、どんな卑怯な手を使っても確実に戦果を挙げる必要がバッドにはある。
自身の名誉のみに捕らわれた狂気的なその姿は、もはや化け物である。

シャープは核の悲劇を阻止すべく戦うことを決意した。一度ならず二度までも南極条約を侵す悪業をすれば誇り高きジオンに悪の汚名が刻まれて歴史に残る。
そして、多くの仲間の尊い命を犠牲にしようとする悪魔の所業を許すわけにはいかない。

「崇高なるジオンの名を汚す者を許すわけにはいかない。逆賊バッドの悪魔の所業を止める。この戦いをする意志のない者は構わないから少しでも遠くに逃げろ」

意を決して出撃するシャープ。逃げようという者は一人もおらず皆シャープに続く。

クリスマスのムードをぶち壊すように赤いドムを先頭にジオンのモビルスーツが飛行メカのドダイに乗って出撃した。一時休戦の静寂を破る突然の出来事に連邦は騒然となる。

「連邦の諸君、恥ずべきことだが我がジオンに南極条約を侵そうとする逆賊がいる。既に核は射たれた、15分足らずで到着する。我々は全力で、これを阻止する。諸君らは少しでも遠くに逃げてくれ。せっかくのクリスマスに申し訳ない」

連邦側に核ミサイルの発射を伝えて戦いに臨むシャープ。味方の不正を告白して戦う姿は騎士のように気高く美しい。

核ミサイル発射を知った連邦の兵士たちは、どよめいたが、ピルスマン司令官は全く動じることはなかった。ただ一言「彼等を信じよう」とだけ言葉を発して戦況を見守った。

ドダイに乗って核ミサイルに向かうシャープたちのモビルスーツをバッド軍のモビルスーツが阻む。
自分たちも核ミサイルの爆発に巻き込まれるのを承知で戦う特攻隊だ。

「時間がないのにムカつく連中だね〜」
イリア機はヒートロッドを振り回して敵のモビルスーツを叩き墜とす。

「崇高なジオンの名を汚す愚か者は容赦はせぬ。心ある者は直ちにこんな戦いをやめろ」

シャープの呼びかけも虚しくバッド軍のモビルスーツは襲いくる。