【禁断兄妹 外伝】銀の檻 金の鳥
第3章 回想
サッカー一色だった小学生時代。
夢中だった。
楽しかった。
全てが順調だった。
夢に向かい伸び伸びと生きていた俺の人生が狂い始めたのは
中学に入学してまもなくのこと
それまで勤務医をしていた父親が
俺の中学入学と同時に開業医になったことが全ての始まりだった。
母親は開業医について計画段階から難色を示していた。
二人は夜遅くに勤務医を辞める辞めない
開業するしないで何度も話し合っていて
だんだん口論に近くなるその言い合いが俺は心底嫌だった。
父親は基本的には真面目な性格だったが
プライドが高く意に反することがあると急に激高するタイプ
俺のイタズラや生意気な態度にキレた父親にいきなり殴られたことが何度かある。
母親はフランス人とのハーフ
お嬢様気質で天真爛漫な彼女は母親というより一人の女
明るくユニークな性格だが自分の欲望に素直な為に何かと自分勝手で
そして父親に負けず劣らず気が強かった。
「開業しても私は手伝えないわよ。無理よ。結婚する時に約束したじゃない、私は働かないって」
「いいよお前は何もしなくていい。経営のことは俺が全部やる。お前は今まで通り家庭を守ってくれればそれでいいから」
「銀行からお金を借りるのも嫌なのよ。借金ってことでしょう?」
「貯金だけじゃ足りないんだからしょうがないだろう。軌道に乗ればすぐに返せる。開業医のほうが今よりずっと儲かるんだから」
「軌道に乗らなかったら?」
「必ず乗るようにするさ。俺はもう雇われ医者は嫌なんだよ」
開業医は父親の夢で
勤務医としてのストレスもあったらしい。
最終的には母親が折れ開業へと舵が切られた。