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待ち合わせ時刻の30分後、達也からLINEが届く。

「雪ちゃん、ごめん遅くなってF駅前、バス停前に着きました。」

雪は小走りでバス停まで向かう、外は土砂降りだ。持ってきたビニール傘を差す。ざあざあと降る雨が街の音を消し去って、まるでこの世に雪と達也しかいないような気分に錯覚させてしまう。
停留所前に白いドイツ車が停まっている、きっと達也の愛車だ。

雪は車の横に行き、助手席側のドアを開けた。ハンドルを持った達也が白い歯を見せる。

「こんにちは」

「乗って良いですか？」

「うん、乗って、濡れちゃうよ。早く」

雪はビニール傘を閉じて、助手席に乗る。達也の横顔が、以前会って見た正面の顔よりも精悍に感じて見惚れてしまう。

「雪ちゃん、どこ行く？雨だけどドライブして良い？」

「はい。」

雨で見通しの悪い中、車は発進した。