テキストサイズ

妄りな昼下がり(仮)

第3章 達也 時々 成

雪と達也は待ち合わせのF駅よりも20km以上離れた、市外のラブホテルで雨宿りをする事にした。
部屋に入って、達也がネイビー色のジャケットを脱ぎ出したので雪がハンガーに掛け、壁にあるフックに吊るす。雪も同様に茶色のジャケットを脱いだ。
ハワイを基調にした部屋だったのでハワイアンの音楽が有線で流れている、雪はボリュームを下げた。
セックスの時、音を流すと雪は没頭出来ないのだ。

「雪ちゃん、さっきも車の音消したよね?」

達也が不思議そうな顔で聞いてくる。雪は何も答えずに達也に抱きついた。

「雪ちゃん、さっきの返事聞きたいな。俺と付き合ってくれませんか?」

達也は、遊びとか行き摩りで、雪との関係を終わらせる気は無いらしい。これが先程から感じていた違和感なんだろうか?違う・・初めのやり取りから、雪は恋心があるとそんなニュアンスで伝えていたのだ、後戻りは出来なかった。

「お願いします。」

雪は頷いた。

「好き、好きだよ。雪。」

やはり、達也は近くでマジマジと顔を見れば見る程に美男子だった。形よく整った、眉毛、目、鼻、口、輪郭、欠点が無い。少し斜に構えたような冷たい顔立ちは薄情そうではあったが。いまだかつて、こんな美男子に好かれた事のない雪は達也が何故自分を好きと言ってくれるのか、不思議で仕方がなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ