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妄りな昼下がり(仮)

第3章 達也 時々 成

土砂降りの雨が、達也の車をザアザアと打ちつける。手入れの行き届いてない、フロントガラスをワイパーで拭っても暖簾に腕押しで、すぐに視界が悪くなる。
段々と達也が苛立っているのが、雪も感じられた。達也はこのまま走っても見渡しが悪く埒があかないと車を停め
雪に吸っていいか?と了解を得て、達也はメンソールのハイライトに火をつけた、途端に車内はヤニ臭くなる。達也は饒舌になって、雪に色んな話しをしてくる。

「俺さ、仕事で使えないやつ嫌いなんだよね。達也さんって仕事出来て羨ましいとか言われるんだけど、お前が出来ないだけだろって思う。だからムカついて殴ってやった〜〜」

達也がヘラヘラと、笑う。雪は相槌を打つ。

「他にもさ、俺友達一杯いるんだけどさ〜〜女の子とも二人で遊んだりするんだよね〜それでさ・・その子がさ・・」

雪は相槌を打ちながら、頭を叩かれたような気分になる。雪の達也に感じた違和感はこれだ。
達也は思考を言語化するのが苦手で、話しの内容が主に主観で、感情的だ。俯瞰的に客観的に話しが出来ない。まるで学生時代雪を嫌っていた女の子と話すような感じになるのだ。

(お前、キモいしトロいから嫌い)

学生時代そう言って雪を避けてきた、女子のことを達也といたら思い出すのだ。

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