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妄りな昼下がり(仮)

第3章 達也 時々 成

なんとも言えぬ、倦怠感が雪を襲ったらやけに達也の事を冷静に分析してしまう。

心と身体はまるで連動した容れ物みたいになっていた、欲情し、身体が満たされてしまったらもう何もかもがどうでも良くなってしまっている。雪はやおらに達也に視線を移すと、どうしても聞きたい事があって達也に聞いた。

「達也さんは、どういう人がタイプなんですか?」

「え〜、どういう人?って聞かれると・・なんだろう、もう若くないからね、消去法になってる。見た目なんかよりも、以外とギャップのある子かな?自炊が出来るとか、しっかりした考え持ってるとか。」

雪はうん、うんと相槌を打つと、
「今はそんな人いないんですか?」と聞いた。
達也の顔が分かり易く曇った。二人の持つ空気に亀裂が入ったような、ピリピリと弱い電磁波が流れているような、変な空気感になる。
そう聞いたのは、雪の意地悪だった。だってホテルで付き合うと二人は誓い合ったのだから。
しかし、雪もまた「見た目なんかよりも」と言った達也に揚げ足を取るようだけど、少し嫌な気持ちになったのだ、雪の見た目がタイプだよと言っていたのだから。あれは、欲情していたから出た言葉なのか。当たり前か。
嫌な沈黙が流れていたけど、雪は非常に体が怠くて歩く気がしなかったので、家の近くのスーパーまで送って貰う事にした。当初の予定とは違う形のお別れになった。

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