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妄りな昼下がり(仮)

第4章 雅人 時々 精神科医

雅人と情事をした日から、雪の不眠は益々酷くなってしまった。雅人と共有した、成にも言っていない秘密がいけなかったのだろうか?
夜寝ようとしたら、母が夢に出て来て雪を嬲るのだ。あまりにも気持ち悪くて、吐き気がして、布団にうずくまってブルブル震えていると、成がただごとでな無いと心配して、雪を軽バンで心療内科まで連れて行ってくれた、今、雪は心療内科の診察室の丸椅子で精神科医の話しを聞いている。正しくは質問されていた。

「山井雪さんでよろしかったですか?私、佐川と申します。よろしくお願いします。」

スクエアタイプの眼鏡をかけた、中肉中背の男の精神科医だった。どこにいても馴染めそうな風貌をしていた。

「何かお悩みがありますか?眠れないと問診票に記入されていましたが。」

「特にありません、私は仕事もしていなく毎日時間が過ぎるのを待っているだけだし、他の頑張っている人と比べるとなんにも。」

「ふん、じゃあ、潜在的に、漠然としたものにとらわれているって事は無い?」

「それは・・あります。」

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