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妄りな昼下がり(仮)

第5章 名もなき男 のち 秋斗 時々 達也

雪は薄暗くなった、家の中で成を探した。お風呂場を開ける、成はいない。トイレをノックする、成はいない。なんだか既視感ある行動だ。お気づきだろうか?雪は寝室を覗いた。成が固いマットレスの上で横たわっている。

「成、どしたん?しんどいん?」

成はぼんやりと遠くを見つめながら言う。

「これ、あかんやつや、ギックリ腰や・・。」

成は、いててと腰を指すってる。雪は急いで成の横に行って腰を下ろす。雪が成の腰を指すろうとしたら

「痛いんやけん、触らんといて!!」

と成は怒った。成は短気だ、そういうところが雪と合わない時がある。

「仕事休むん?」

「そうやな、2日くらいは休まんと。あぁ情けなぁ。」

仕事に対して、責任感の強い成が固いマットレスの上で項垂れていた。雪は早く身体の汚れを落としたくて、バスタブに湯をはりに行く。ついでにご飯の用意もしなければと思ったら、LINEが鳴った。誰だろうと見ると達也だった。

達也からのLINEをずっと既読スルーしていたので未返信のままで10件くらい溜まっていた。「おーい」 「いつ会える?」 「へんじして、ユキちゃん。」
大方そんな内容。
日本語が上手じゃなくて、唯一無二の肌を持つ、達也が何故か愛しくなる。恋心では無いのだが、体が火照ってしまう。

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