テキストサイズ

妄りな昼下がり(仮)

第7章 混ぜたら危険。雪vs母

その日の夜は静寂に包まれていた。
成も雪も、お互いに言葉を発さず、互いに背中を向けて硬いマットレスの上で横になった。

雪の母は言った。蛙の子は蛙だと。それは誰かから₍ も聞いた。雅人だ。
雪も雪の母も完璧な人間にはなれない。反面教師なんて言葉は存在しなかった。成の背中が異常に冷たい。何故、別れるのに別居するのにいつもと同じように2人マットレスで寝ているのだろう?
蛙の子は蛙。これは言霊なのだろうか。
寂しい。これから、この広い家で1人でいるのが寂しい。雪は新しい男を作って、また誰かと暮らすのだろうか。それが成以外の誰かであったら生きる意味なんてあるのだろうか。
じゃあ、何故、成を大事にしてあげれなかったのだろうか。
雪は雪の母の彼氏に犯されたと成に言った。
だけどもあれは嘘だ。
母が雪好みの男を連れて来たから、雪が誘惑した。
黄色くヤニに汚れた壁紙の部屋で雪と雪の母の彼氏は何度も母に隠れてセックスをした、一回り以上離れた男の性技にドップリハマった雪は、何度も男を求めた。ある日、母に見つかって、勘当されたのだ。
今思い出したらあの男は達也に似ていた。

ぐちゃぐちゃの思考がグルグルと回って眠れない、それは成も同じようだった。いつもなら鼾の聞こえる時間なのに。成が大人しい。

「雪寝とるか?あのな、お前はな、ただ闇雲に自分の体傷つけとるだけなんやで、もっと自分の身体大事にせぇよ。分かったか?」

成がポツリと言った。雪は寝たふりをした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ