テキストサイズ

妄りな昼下がり(仮)

第8章 子宮の中へ。

蛙の子は蛙、本当にそうなのかもしれない。

雪はカシミヤのマフラーを巻いて120デニールのタイツにミニスカート、茶色のスエードのブーツを履いて、F駅を降りた。

降りた瞬間にLINEが鳴った。

「雪ちゃんどこにいますか?」

「山本さん、今着いたよ。」

F駅バス停の方まで降りると、60代と思われるスーツ姿の男が雪に向かって手を振ってくる。

「山本さん!お久しぶり!」

「雪ちゃん!会えて嬉しい。」

そう言って、雪と、山本と言う男は手を繋いで歩いた。木枯らしが吹いて少し寒いが、2人の手の温もりで少しだけ温かい。
前方から白いドイツ車が走ってくる、運転席の男と雪は目が合った。助手席に今どきの可愛らしい女の子を乗せていた。運転席の男は美男子だったが、雪を見た瞬間、侮蔑の視線を向けた・・気がした。
これで良い、良いんだ。幸せそうで良かった。雪は思う。

そして雪と山本は、最寄りのホテルまで歩いた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ