妄りな昼下がり(仮)
第8章 子宮の中へ。
風呂場からザブザブと、湯を流す音が聞こえてくる。
雪は急いで風呂場まで行ってドアを開けた。
成が背中を洗おうとしていた。
「駄目!私がする!」
雪はそう言って、ナイロンタオルで成の背中を洗った。
成は項垂れている。
「成、今日の調子はどう?」
「嫌、あんま弱音吐きたくないんやけど、ぶっちゃけ悪い。雪、すまんな。」
弱々しく呟いた、成の背中は以前一緒に暮らしていた時よりも痩せぎすで、お爺さんのようだ。雪は山本を思い出しながら、成の背中を擦った。
綺麗好きで、垢なんて無いのに成はナイロンタオルで背中を洗わないと満足出来ないようだった。
「雪、本当にごめんな。早く元気になって、美味いもん食べ行こなぁ・・」
そう申し訳無さそうに呟く、成は以前の成とは違った。人格が変わってしまったのだ。
別々に暮らし出して、どうしても1人に耐え切れなかった雪はミンミン蝉が鳴く頃に成に一回電話をかけた。当たり前だが、成は電話に出なかった。
それでも成の声が聞きたかった雪は、イチョウの葉が黄色く色付く頃にもう一度成に電話をした。
当たり前だけど成は電話に出なかった。ほど無くして、成から掛け直しがあった。雪は恐らくワンコールで電話に出た。
「もしもし、成?雪だけど・・。」
「・・・・。もしもし。」
成の声は、しゃがれて、小さくて、凄く弱々しかった。
「ど、したの。成?なんかあったの?」
雪が聞くと。
「・・事情があって入院しとるんや。」
雪は急いで風呂場まで行ってドアを開けた。
成が背中を洗おうとしていた。
「駄目!私がする!」
雪はそう言って、ナイロンタオルで成の背中を洗った。
成は項垂れている。
「成、今日の調子はどう?」
「嫌、あんま弱音吐きたくないんやけど、ぶっちゃけ悪い。雪、すまんな。」
弱々しく呟いた、成の背中は以前一緒に暮らしていた時よりも痩せぎすで、お爺さんのようだ。雪は山本を思い出しながら、成の背中を擦った。
綺麗好きで、垢なんて無いのに成はナイロンタオルで背中を洗わないと満足出来ないようだった。
「雪、本当にごめんな。早く元気になって、美味いもん食べ行こなぁ・・」
そう申し訳無さそうに呟く、成は以前の成とは違った。人格が変わってしまったのだ。
別々に暮らし出して、どうしても1人に耐え切れなかった雪はミンミン蝉が鳴く頃に成に一回電話をかけた。当たり前だが、成は電話に出なかった。
それでも成の声が聞きたかった雪は、イチョウの葉が黄色く色付く頃にもう一度成に電話をした。
当たり前だけど成は電話に出なかった。ほど無くして、成から掛け直しがあった。雪は恐らくワンコールで電話に出た。
「もしもし、成?雪だけど・・。」
「・・・・。もしもし。」
成の声は、しゃがれて、小さくて、凄く弱々しかった。
「ど、したの。成?なんかあったの?」
雪が聞くと。
「・・事情があって入院しとるんや。」