赫い月、蒼い夜
第1章 愛を探して
ヴィンテージものだったんだ……(汗)
「それに少し待ってりゃあ、洗濯なんざすぐに終わるから。」
「そうだね…」
なんか…ほっとしたようなそうじゃないような…
「待ってろ。お茶、入れ直して来てやっから。」
彼は、今度は俺が取り落とさないよう、テーブルに置いてくれた。
「急に渡した俺も悪かった。だから気にしなくていい。」
「…うん。」
「もう1個、食っていいか?」
「もちろん。そのために買ってきたんだし?」
彼はもう何個目か分からないケーキを口に含んだまま、ケーキの箱をひっくり返して眺めていた。
何してるんだろう?って、不思議そうに見てたら目があった。
「このケーキ屋、どこにあんのか、と思って?」
「食べたいんならまた買って来るけど?」
唇にクリームを付けたまんまこちらに向けた顔が可愛くて吹き出してしまった。
「オマエ…人の顔を見て笑うとか感じ悪いだろ?」
「だって…」
可愛い、とか言ったら余計に機嫌損ねるんだろな?と思うととても口に出して言えなかった。
「さっきは悪かったな…?」
「何が?」
「無理にひん剥こうとかして…男同士だから、って、嫌だったよな?」
「え?あ…うん…。」
黙ったまま俯く。
確かに嫌だったのは事実。
でも、多分、彼が思ってる理由と俺が思ってる理由とじゃ違う。
もう、ここに来ないほうがいいのかも…
「あのさ…」
「えっ?!な、なに?」
「どしたんだよ?急にデケェ声出して?」
「急に話しかけてくるから…」
「俺のせいかよ?まあ、いい。ここのケーキ屋、ってどんなケーキがあるんだ?チョコレートケーキとかチーズケーキとかあったら食ってみたいんだけど?」
「あ、ああ。あるよ?」
「じゃあ、お金出すから買ってきてくんね?」
「いいよ、奢るから?」
「自分で稼いでんのに学生に奢ってもらおうなんて、そんな厚かましいこと考えてねえから?」
「別に厚かましくなんてないと思うけど?」
「お前の稼いだ金じゃねぇだろ?」
「そう…だけどさ。」
「拗ねるなよ?今度はうまいお茶、用意して待ってるから?」
うまく丸め込まれた感じだったけど、
笑って頭をぽんぽんしてくれたことでどうでも良くなってしまった。