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若者の事情

第1章 自立

「もう! 子どもじゃないんだから!」

言われなくてもわかってる。

だって大人だもん。

「会社に迷惑がかがるの、あなたが勝手なことをすると」

迷惑をかけたくてしたわけじゃない。

結果的にそうなってしまっただけだ。

「まだ学生気分がぬけてないんじゃないの? 遊びに来てるんだったら、辞めてくれたって構わないのよ」

「じゃあ辞めます」


遊びにきてるつもりはなかったけど、そう見えるんだったら仕方ない。
こっちだって、いつもへこへこしながらやりがいのない仕事を続けるほど暇じゃない。


私は、明らかに呆れたと言わんばかりに口を開けたお局様に背を向けた。

ちらちらとこちらの様子を伺っていた同僚の女や、いつも先輩ぶってる男が、部屋を出て行こうとする私を直視しているのがよくわかった。

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