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このインモラルで狂った愛を〜私と貴方の愛の手記〜

第3章 別れは突然に




 それから直ぐに帝都へと戻ったウィリアムは、再びこちらに戻ることもなく出立の日を迎えると、そのまま帝都から開拓地である都市リベラへと旅立ってしまった。
 当日の見送りすらできなかったことに胸を痛めつつも、私はこれで良かったのだと安堵した。きっと、ウィリアムを前にしてしまえば、笑顔で見送るなんてことはできなかっただろうから──。

 
「ウィル……どうかお元気で。私は──貴方のことが好きでした……」


 自室の窓から見える遠い土地を眺めながら、誰に聞かせるでもない告白を小さな声でポツリと呟くと、私は遠い空の下にいるウィリアムを想って静かに涙を流した。
 元より叶うはずもなかった私の初恋は、十二になったばかりの秋の暮れ、こうして突然の別れによって終わりを迎えたのだった。

 それから待てど暮らせども、一向にウィリアムからの手紙が届くことはなく、私はその事実に悲しみながらも現実から目を背けると、まるでその想いを断ち切るかのように勉学に励んだ。
 その甲斐あってか、いつしか私の中にいるウィリアムの存在も薄れてゆき、三年も過ぎる頃には、彼の事を考える時間も殆どなくなっていた。


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