このインモラルで狂った愛を〜私と貴方の愛の手記〜
第3章 別れは突然に
※※※
それから私がウィリアムに会うことができたのは、二週間も経ってからのことだった。
準備にかかりきりで忙しかったウィリアムは、ほとんどの時間を帝都で過ごし、こちらに帰ってくる暇さえもなかったのだ。そのお陰で、私の中でくすぶっていた感情にもだいぶ整理をつけることができたので、私にとっては有難い時間の猶予だった。
こんな私の為に時間を作ってくれたウィリアムには、本当に感謝の言葉もない。
「ウィル……。本当に、行ってしまうのね」
「私の可愛いリディ。どうか、そんなに悲しい顔をしないで。必ず手紙を出すと約束するよ」
「……本当に?」
「あぁ、本当だとも。いつだって、私の心は君にあるんだ。……決してそれを忘れてはいけないよ」
「……ええ、わかったわ」
「どうか、リディに幸せな毎日が訪れますように──」
そう告げると、私の手を取りそっと優しく口付けたウィリアム。その所作は相変わらずの優雅さで、私の手に顔を寄せながらも伏せた瞳をゆっくりと見上げるその仕草は、思わず息が止まってしまう程に妖しく美しい。
これで暫く彼に会うこともないのかと思うと、胸の奥から激しい荒波のようなものが押し寄せてくる。
(いけないわ……。泣いてはダメよ、リディ)
そう自分に言い聞かせると、恐ろしくも妖艶な微笑みを浮かべるウィリアムを前に、私はその細部まで一つも取りこぼすことのないよう見つめ返すと、これで最後とばかりにその姿を瞳に焼き付けたのだった。
それから私がウィリアムに会うことができたのは、二週間も経ってからのことだった。
準備にかかりきりで忙しかったウィリアムは、ほとんどの時間を帝都で過ごし、こちらに帰ってくる暇さえもなかったのだ。そのお陰で、私の中でくすぶっていた感情にもだいぶ整理をつけることができたので、私にとっては有難い時間の猶予だった。
こんな私の為に時間を作ってくれたウィリアムには、本当に感謝の言葉もない。
「ウィル……。本当に、行ってしまうのね」
「私の可愛いリディ。どうか、そんなに悲しい顔をしないで。必ず手紙を出すと約束するよ」
「……本当に?」
「あぁ、本当だとも。いつだって、私の心は君にあるんだ。……決してそれを忘れてはいけないよ」
「……ええ、わかったわ」
「どうか、リディに幸せな毎日が訪れますように──」
そう告げると、私の手を取りそっと優しく口付けたウィリアム。その所作は相変わらずの優雅さで、私の手に顔を寄せながらも伏せた瞳をゆっくりと見上げるその仕草は、思わず息が止まってしまう程に妖しく美しい。
これで暫く彼に会うこともないのかと思うと、胸の奥から激しい荒波のようなものが押し寄せてくる。
(いけないわ……。泣いてはダメよ、リディ)
そう自分に言い聞かせると、恐ろしくも妖艶な微笑みを浮かべるウィリアムを前に、私はその細部まで一つも取りこぼすことのないよう見つめ返すと、これで最後とばかりにその姿を瞳に焼き付けたのだった。