このインモラルで狂った愛を〜私と貴方の愛の手記〜
第4章 予期せぬ婚約
不作法だったかと少しばかり後悔しながらも父の隣りに腰を下ろすと、私はその視線をゆっくりと上げるとウィリアムの様子を伺った。
───!!
真っ直ぐに私を見つめるウィリアムの瞳に射抜かれ、その視線に耐えきれなくなった私は再び視線を落とした。それでもなお感じるウィリアムからの視線に、トクトクと高鳴り始めた私の心臓。このままでは、窒息して今にも倒れてしまいそうだ。
前方から感じる視線にキュッと固く両手を握りしめると、そんな私の隣にいる父がおもむろに口を開いた。
「それで、今日はどの様なご用でこちらへ……?」
「手紙を出したのですが……やはり届いてはいなかったようですね」
「……? 手紙ですか? そのようなものは届いておりませんが……」
「きっと、何か良からぬ者が動いたのでしょうね……」
「良からぬ者とは、一体……」
「……いえ、こちらの話しです。邪魔されることもなくこうして直接お会いすることができたので、もうそのことはよいのです」
「……?」
意味の分からない会話を繰り広げているウィリアムに困惑すると、チラリと隣りにいる父の様子を伺ってみる。すると、何のことやらさっぱり分からないといった表情をさせている父。
どうやら、私と同じくウィリアムの言っていることを理解していないらしい。
その答えを求めるかのようにしてウィリアムの方へと視線を移すと、そんな私を見て優しく微笑んだウィリアム。再びその視線を父へと戻すと、薄く笑みを纏《まと》ったままのウィリアムはその口を開いた。