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🌹密会🌹

第10章 🌹March(終章)-1🌹



「...今回の事で、私は何一つ証明する事が出来ません...今の私に出来る事は、自分の身体を貴方に差し出す事だけです。でも、それが黎一さんにとって償いになるというなら、喜んで貴方に差し出したいと思います。」




涙を拭いながら美月は立ち上がり、怒り狂った日比谷教頭を前に視線を逸らさず、そう言い切ると、額に青筋が張った彼からの返答を待ち続けた。


ああ言ったはいいけど断られたら、どうしよう。
もうそうなったら、潔くこの部屋から出て行くしかないって事だよね...。



不安に苛まれている美月に対し、日比谷教頭は口元に微笑を浮かべた。
だがその笑顔は先程、彼女を扼殺しかけた時の笑顔にソックリだった。
美月の背筋にゾクリと冷たいものが走った。




「何だやれば出来るじゃないか、美月。私はそういう言葉を待ち望んでいたんだよ。」



だが、日比谷教頭は猫撫で声で、彼女の発言を表面的に褒めただけだった。


「ありがとう...ございます。」



何か暴力を振るわれるのかもしれないと、内心怯えていた彼女はホッと息を吐く。
どうやら彼の逆鱗に触れたようでは無かったようだった。


「では、1階の浴室に案内しよう。来なさい、美月。」



穏やかな言い方でありながら、何処か高圧的な雰囲気の日比谷教頭に美月はコクリと頷くと、彼に連れられて1階へと向かったのだった。

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