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🌹密会🌹

第11章 🌹March🌹(終章)-2


螺旋階段を下り、浴室と脱衣所を案内された美月は、背後から彼の刺すような視線を感じながら、 1枚1枚服を脱ぐ。



「身体を清潔にしたら、また私の寝室へ来るように。」



壁に寄りかかり、両腕を組みながら指示を出す彼に対し、美月は「はい」と小さく返答すると浴室の扉を開く。
浴室のタイルの冷たさに、思わず踏み止まりそうになったが、後ろから背中をドンと押され、危うく転倒しかける。



普段の黎一さんなら、こんな乱暴な事絶対しないのに。



荒々しくすりガラスの扉を閉めていった日比谷教頭の態度に、美月は一瞬胸が苦しくなった。
だが、そう落ち込んでもいられない。
激昂している彼を待たせたら、どうなるのか目に見えて分かる。
美月は無理矢理自身を奮い立たせると、バスルームへと入ろうとした。


.....?玄関の扉の音...?


僅かだが、玄関の開閉音が聞こえたような気がした。


気のせい...かな?


彼女は首を傾げながら、広々としたバスルームの中へと入ると、シャワーのコックを捻った。


ハァー....気持ちいいなぁ....。



...私の心の憂鬱な部分も全部洗い流してくれればいいのに...



償いとして日比谷教頭に身体を差し出すと言っていた美月だったが、その顔には憂愁の色が浮かんでいる。


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