🌹密会🌹
第12章 🌹March🌹(終章)-3
美月はふと目覚めた。
手も足もまだ眠りの中にあるようで温かったが、徐々に意識がハッキリしていき、瞼をゆっくりと開けた。
ベッドから起き上がろうとして、身体の節々に痛みがあり、鉛のように身体が重い事に気がつく。
億劫だなと思いながらも頭を上げ、起き抜けの寝惚けた頭で室内をぐるりと見渡した。
冷え切った室内は暖房によって温められ、
美月が汚したシーツや布団等も綺麗に変えられていた。
美月の身体にしては大きすぎるが、彼女は真っ白のバスローブを着せられていた。
身体からバスルームで使用したボディーソープの匂いがする。生々しい傷跡は残ったままだが、身体は隅々まで洗ってくれたのだろう。
壁掛け時計の方に視線をやると、その長針は10、短針は1を指していた。
10時5分...
一瞬昼夜が分からなくなって、遮光性の高そうな黒いカーテンを少し開ける。眩しい朝日が目に入り、反射的に目を瞑った美月は再びベッドへと戻ると、腰をかけた。
私、そのまま寝ちゃったんだ。
黎一さんは何処だろう。
1階...かな?
そう思い、再び腰を上げた美月はクラっとした目眩に襲われる。
なんか...調子悪い...。
喉が痛い、頭も...。
ケホケホと咳き込みながら、ドアノブに手をかけて時計回りに回した所、玄関の開閉音が丁度聞こえて、美月はピタリと手を止める。