🌹密会🌹
第12章 🌹March🌹(終章)-3
「.......一つ気がかりな事があるんだが、その....緊急避妊薬というのがあるんだろう。産婦人科に直接行かなくていいのか?」
「へっ.....。」
「付け焼き刃な知識だ。美月の方がそういった事は詳しいと思うが、確か性交後72時間以内に用いる避妊薬だろう。必要なら今から車を出そうと思っている。」
黎一さん...。
私が寝ている間にそんな事まで...。
もしかしてそれで眠れなかったんじゃ...。
とてもじゃないが、中出しを強行した昨日の彼と同一人物だとは到底思えなかった。
「えっと...実は、低容量ピルっていう薬を去年の10月ぐらいから飲んでいたんです。ゴムは付けてたけど万が一、妊娠でもしたらって考えたら怖かったので...。でも一昨日、昨日と、色々あって飲み忘れてしまっていて...避妊効果は薄まってると思うので、アフターピルが必要かと....。」
「...分かった。では私の運転で向かおうと思う。具合が悪いところすまないが、早く服用した方が良いだろう。…。どうした美月?」
「....いえ...その...黎一さん、昨日、私との子どもが欲しいって言ってたから....。」
「......すまない...実はよく覚えていないんだ。下衆な男の戯言だと思ってくれていい。」
「....そう....ですか......」
美月は少しショックを受けた。
失神直前とはいえ、彼が演技や嘘を吐いてるようには見えなかったからだ。
やっぱその場の快楽を優先させたかったのか...。
でも...私の身体の事を心配してくれるだけまだマシな人なのかな。
複雑な胸中だったが、今は彼の言う通り一刻も早く病院に向かうべきだと美月は頭を切り替える。
「...よろしくお願いします。」
美月は礼儀正しくぺこりと頭を下げた。